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東京地検特捜部は元文部科学副大臣の池田佳隆容疑者を政治資金規正法違反の疑いで逮捕した。
池田容疑者は安倍派所属で、自民党は逮捕を受け、除名処分とした。パーティー収入不記載事件は、国会議員の刑事責任が問われる事態に発展した。
政治不信に拍車がかかるのは避けられず、自民は深刻に受け止めねばならない。
池田容疑者には、平成30年~令和4年に安倍派から還流を受けた計4826万円の寄付を政治資金収支報告書に記載せず、噓の収入を記載したなどの疑いがある。
同容疑者は、特捜部の捜査が判明した後の昨年12月に、関連団体の2~4年分の収支報告書を訂正している。訂正して済む問題ではない。政治資金を裏金にしていたのであれば国民への背信だ。
これまでの間、説明責任も十分果たしてこなかった。説明するよう強く促さなかった党側にも問題がある。
一連の事件を巡っては捜査中であることを理由に口をつぐむ関係者が多い。だが、これはおかしい。国民の負託を受けた政治家の責任として、指摘された疑惑に対し、自ら事実関係を明らかにし、誤りがあれば国民に謝罪するのは当然だ。
法令順守(コンプライアンス)が一層問われる時代となり、各界では以前にも増して説明責任を果たすことが求められるようになった。その中で一番逃げ回っているのは政治家ではないか。そうした姿勢が国民に見透かされ、政治不信につながっている。
昨年以降、現職国会議員の逮捕は秋本真利被告、柿沢未途容疑者に続き3人目である。あきれるほかない。
岸田文雄首相は党内に総裁直属の政治刷新本部を立ち上げる。政治への信頼回復は急務だが、現状の問題認識や反省の共有、国民への十分な説明なくして、どうして刷新できよう。小手先の改革でお茶を濁すことは許されない。
特捜部は、還流を受けながら関連団体の報告書に記載しなかった疑いのある議員の立件を進めるとみられる。この仕組みを構築した派閥幹部の責任も問われることになろう。政治と同様に検察の捜査のありようも、国民から厳しく見られている。
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2024年1月8日付産経新聞【主張】を転載しています